「感染症」と「伝染病」は似た意味で使われることがありますが、それぞれしっかりした定義などはあるのでしょうか?
私などは、どちらも「病原体やウィルスなど、人から人へ移って・・・」といった、ざっくりのイメージしかありませんが、現在の医療や法律では使い方に違いがあるようです。
実際には、「感染症」は現在の正式な医療用語として広く使われており、「伝染病」は昔の表現として扱われる場面が増えているようです。
また、病気の原因や感染経路への理解が進んだことで、言葉の使い分けも変化してきました。
この記事では、感染症と伝染病の違いをわかりやすく整理し、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの具体例を交えながら、現在の使われ方や背景について詳しく解説します。
感染症と伝染病の違いをわかりやすく解説

「感染症」と「伝染病」は、どちらも病原体によって起こる病気を指す言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
現在の日本の医療や法律では「感染症」という表現が一般的で、「伝染病」は昔の呼び方として扱われる場合が増えています。
感染症とは何か
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に入り込み、発熱やせきなどの症状を引き起こす病気のことです。感染経路には飛沫感染、接触感染、動物を介した感染などさまざまな種類があります。
たとえば、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、マラリアなども感染症に含まれます。人から人へ広がる場合だけでなく、食品や水、生物を通じて感染するケースもあります。
現在の日本では、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づき、医療や行政の現場で「感染症」という言葉が正式に使われています。世界的にも、健康対策や予防の情報では感染症という表現が一般的です。
伝染病とは何か
伝染病とは、人から人へ伝染する病気を表す昔の言葉です。「伝染」という言葉には、病気が広がって流行するイメージが含まれています。
以前の日本では、コレラや赤痢、結核などについて「伝染病」という表現が広く使われていました。しかし、医療や科学の発展によって、病気の原因や感染経路が詳しく分かるようになり、現在はより正確な「感染症」という言葉が主流になっています。
また、「伝染病」という表現には強い不安や差別的な印象を与える場合があるため、公的機関や医師の説明では使用を避けるケースも増えています。
現在では法律上の正式名称としてもほとんど使われていません。
感染症と伝染病の違いを簡単に整理
感染症と伝染病の違いを簡単に言うと、「感染症」は幅広い病気を含む正式な医療用語で、「伝染病」は主に人から人へ広がる病気を指した昔の表現です。
違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 感染症 | 伝染病 |
|---|---|---|
| 意味 | 病原体によって起こる病気全般 | 人にうつる病気を中心とした昔の呼び方 |
| 現在の使用 | 医療・行政で正式に使用 | 現在はあまり使われない |
| 例 | インフルエンザ、新型コロナ、マラリア | 昔の結核、コレラなど |
つまり、「感染症」は現代の医学や予防対策で使われる正式な言葉であり、「伝染病」は歴史的な表現として残っている言葉と考えると理解しやすいでしょう。
感染症と伝染病の具体例

感染症と伝染病の違いは、実際の病気を例にすると理解しやすくなります。
現在の医療やニュースでは「感染症」が使われることがほとんどですが、昔は「伝染病」という表現が一般的でした。
インフルエンザは感染症?伝染病?
インフルエンザは、現在の分類では「感染症」です。インフルエンザウイルスが原因となり、飛沫感染や接触感染によって人から人へ広がります。
一方で、昔は人にうつって流行する病気をまとめて「伝染病」と呼ぶことが多かったため、インフルエンザも伝染病の一種として扱われていた時代がありました。
ただし、現在の医療や行政の情報では、「伝染病」という表現はほとんど使われません。日本では感染症法に基づき、正式には「季節性インフルエンザ感染症」として扱われています。
新型コロナウイルスはどちらに分類される?
新型コロナウイルス感染症も、正式には「感染症」に分類されます。原因となるのは「SARS-CoV-2」というウイルスで、飛沫や接触を通じて感染が広がります。
世界的な流行によって、「感染症」という言葉を日常的に聞く機会が増えました。ニュースや医師の説明、公的機関の情報でも、「新型コロナウイルス感染症」という表現が使われています。
一方で、人から人へうつる病気という意味では、昔の言い方をすると「伝染病」に近い性質を持っています。しかし、現在の日本では「伝染病」という分類は基本的に使われません。
昔「伝染病」と呼ばれていた病気の例
昔の日本では、人にうつる病気を広く「伝染病」と呼んでいました。特に大きな流行を起こした病気は、社会全体で強く警戒されていました。
代表的な例としては、コレラ、赤痢、腸チフス、結核などがあります。これらは衛生環境や水質の問題によって発生しやすく、過去には多くの人が感染しました。
また、天然痘のように世界規模で広がった病気も、昔は伝染病として恐れられていました。現在では医療技術や予防接種の発展によって、多くの感染症がコントロール可能になっています。
現在の医学では、病気の原因や病原体、感染経路を詳しく分類できるようになったため、「伝染病」という大まかな表現よりも、「感染症」という正確な言葉が使われるようになりました。
感染症と伝染病についてよくある疑問
厚生労働省は「伝染病」という言葉を使っている?
現在の厚生労働省や医療機関では、基本的に「感染症」という表現が使われています。
これは、病気の原因や感染経路を医学的に正確に表現できるためです。また、「伝染病」という言葉は古い法律用語でもあり、差別や偏見につながる印象を避ける目的からも、現在はあまり使用されなくなっています。
「感染症」と「感染」は同じ意味?
似ていますが、意味は異なります。
「感染」は病原体が体内に入る状態そのものを指し、「感染症」は感染によって症状が出た病気を意味します。たとえば、病原体に感染していても症状が出ていない場合は、「感染している状態」であり、必ずしも「感染症を発症している」とは限りません。
まとめ
「感染症」と「伝染病」は似た言葉ですが、現在の医療や法律では意味や使い方に違いがあります。この記事では、それぞれの言葉の定義や背景、具体例を通して違いを整理しました。
【ポイント】
・「感染症」は、ウイルスや細菌などの病原体によって起こる病気全般を指す正式な医療用語
・「伝染病」は、人から人へ広がる病気を表す昔の呼び方として使われていた
・現在の日本では、法律や医療現場で「感染症」という表現が一般的
・インフルエンザや新型コロナウイルスも、正式には「感染症」に分類される
・「伝染病」という言葉は、医学的な正確性や差別・偏見への配慮から使われる機会が減っている
言葉の違いを理解しておくと、ニュースや医療情報もより正確に読み取れるようになります。普段よく耳にする用語だからこそ、正しい知識として整理しておくことが大切です。