ガソリン暫定税率とは?

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ガソリン暫定税率とは?税の仕組み・トリガー条項の現状から廃止の影響まで徹底解説

ガソリン価格が変動するたびに話題となる「ガソリン暫定税率」。この専門用語が、一体どのような仕組みで私たちのガソリン代に影響を与えているのか、疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

この制度は複雑に思われがちですが、本記事ではガソリン税(本則税率)との違いや、現在凍結中の「トリガー条項」の現状を含め、暫定税率の内容をわかりやすく解説します。

さらに、もしガソリン暫定税率が廃止された場合に、私たちの家計や物流企業にどのような影響が出るのかを具体的に掘り下げています。

ガソリン暫定税率

ガソリン暫定税率とは?税の仕組みとガソリン税との違いをわかりやすく解説

私たちがガソリンスタンドで支払うガソリン代には、さまざまな税率が含まれていますが、その中でも特に議論を呼ぶのが「ガソリン暫定税率」です。

これは、本来のガソリン税(揮発油税および地方揮発油税)に上乗せして課税されている暫定的な税金の制度です。具体的に言えば、本則税率(本来の税率)に加えて、特例的な措置として長期間維持されている税額のことです。

この暫定的な税金は、かつて道路特定財源として使途が定められていましたが、現在は一般財源化されています。

この制度をわかりやすく解説すると、現在のガソリンには「本則税率」と「暫定税率」の二つの課税が合算されており、この二つを合わせたものが、実際に私たちが負担しているガソリン税(揮発油税)となります。

特に重要なポイントは、この暫定税率が加わることで、ガソリン代が大幅に高くなっているという点です。また、この税金に対してさらに消費税率がかかるため、ガソリン税の違いを理解する上で「二重課税」の問題も合わせて解説が求められます。

そもそもガソリン暫定税率とは?

私たちがレギュラーガソリンを購入する際に支払っている税金は、「ガソリン税(揮発油税)」と呼ばれていますが、実はこの税金は二つの部分から構成されています。その一つが、ここで解説する「ガソリン暫定税率」です。

ガソリン暫定税率とは、本来の税率(本則税率)に上乗せする形で、期限を定めた「暫定」的な措置として導入された税率と前述しました。

1974年に、道路特定財源を確保するための時限的な制度として設けられました。しかし、その後、期限の延長が繰り返され、現在も継続して課税されている現状があります。

この暫定税率は、本来は「一時的なもの」という意味合いが強いのですが、長期間維持されているため、実質的には固定的な税金となっています。具体的には、揮発油税では1リットルあたり25.1円が、この暫定税率として本則税率に上乗せされています。

なぜこの制度が重要かというと、この税金が廃止されるか否かで、末端価格が大きく変わるためです。そのため、政府の税率改正の議論や、価格高騰時にこの暫定税率をどう扱うかという内容が、常に大きな影響を持つことになります。

暫定税率とガソリン税(本則税率)の違いは?

ガソリン税(揮発油税および地方揮発油税)の税率を理解するためには、「本則税率」と「暫定税率」の違いを明確にすることが不可欠です。私たちが現在負担しているガソリン代に含まれる税金は、この二つを合算した金額になります。

本則税率とは、法律で恒久的に定められている本来の税率のことです。一方、暫定税率は、本来の税額に上乗せして徴収される特例的な税額であり、その名のとおり暫定的な措置として導入されました

現在の税額をわかりやすく解説するために、レギュラーガソリンに含まれる揮発油税(国税)の具体的な内訳を以下に紹介します。

項目 税額(1リットルあたり) 概要
本則税率 28.7円 本来のガソリン税の税額
暫定税率 25.1円 本則税率に上乗せされている税額
合計 53.8円 現在、私たちが負担している税率

この表が示すように、暫定税率は本則税率とほぼ同額であり、ガソリンの価格に大きな影響を与えています。この制度が廃止されるか否かの議論は、この25.1円が私たちの家計にメリットをもたらすかどうかに直結するため、非常に注目されている内容なのです

暫定税率が「二重課税」と言われる理由

ガソリン暫定税率がしばしば批判の的となり、「二重課税ではないか」と言われるのは、ガソリン税(揮発油税など)の合計額に対して、さらに消費税率が課せられている仕組みに原因があります。

例を挙げて解説すると、私たちがガソリンを購入する際には、まずガソリンの元々の価格に対して、本則税率と暫定税率を合計した53.8円/Lのガソリン税が課されます。この「税金が上乗せされた価格」全体に対して、さらに消費税(現在は10%)が課税されるのです

この制度の内容を税務の視点から見ると、「税金(ガソリン税)の上にまた税金(消費税)がかかっている」状態と解釈されます。通常、消費税は商品やサービスの対価にかかるものであり、既に税率が設定されている税金の上に重ねて課税するのは不適切ではないか、という疑問が生じるのです。

これが、ガソリン暫定税率をめぐる議論の中で、特に公平性や透明性の観点から、「二重課税」の問題として大きく取り上げられ、廃止を求める声の一つの根拠となっています。

ガソリン暫定税率の現状:トリガー条項の役割と適用状況

ガソリン価格が大幅に高騰した際に、国民負担を軽減するための安全装置として導入された制度が「トリガー条項」です。この条項は、暫定税率を一時的に徴収停止(課税廃止)することを定めたものです。

具体的には、レギュラーガソリンの全国平均価格が3ヶ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合、翌月からガソリン暫定税率の課税を停止し、価格を下げるという内容でした。しかし、この制度は東日本大震災の復興財源確保のため、2011年以降「凍結」された現状が続いています。

政府は価格高騰対策として、現在では石油元売り企業への補助金制度を導入し、価格抑制を図っています。つまり、ガソリン暫定税率の徴収は継続しつつ、価格が上昇しすぎないよう別の補助で国民影響の緩和を図っているのです。

そのため、現在のガソリン暫定税率の現状としては、トリガー条項は凍結され適用されておらず、暫定税率は継続して課税されている状態にあることを理解しておく必要があります

ガソリン減税 トリガー条項の役割

ガソリン価格高騰を抑える「トリガー条項」とは

「トリガー条項」とは、ガソリン暫定税率の徴収を一時的に停止(課税を廃止)する特例的な仕組みを定めたものです。

この制度の役割は、文字通り「引き金(トリガー)」のように、設定された条件が満たされた場合に自動的に税率を引き下げることにあります。具体的には、レギュラーガソリンの全国平均価格が3ヶ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合、翌月から暫定税率の課税を停止し、価格抑制を図るという内容でした。

このトリガー条項が発動されれば、暫定税率分の25.1円に消費税を加えた金額だけガソリン代が安くなるという、消費者にとって大きなメリットがあります。

しかし、現在はこの制度自体が凍結されている現状です。そのため、ガソリン価格がいくら高騰しても、自動的に暫定税率が廃止されることはありません。

トリガー条項の現状と凍結されている背景

トリガー条項の凍結の背景には、2011年に発生した東日本大震災後の復興財源の確保という特別な事情があります。震災復興特別措置法により、トリガー条項の発動が停止され、現在までその効力が停止したままとなっています。

政府はガソリン価格の急騰に対し、トリガー条項を解除する代わりに、石油元売り企業への補助金制度を導入し、価格上昇を抑制するという方法をとっています。これは、財源の安定性を維持しつつ、国民負担を軽減するための別の制度として機能しています。

このように、トリガー条項は現在機能しておらず、ガソリン暫定税率は継続して課税されているというのが、現在の正確な現状です。この凍結内容や影響について、政治的な改正議論が続いています。

暫定税率の現在(2025年12月時点)の適用状況

2025年12月現在、ガソリン暫定税率は引き続き適用されている現状にあります。前述のとおり、価格高騰時に暫定税率の課税を停止するトリガー条項は凍結されているため、ガソリンの価格がいくらであっても、本来のガソリン税(本則税率)に25.1円/Lが上乗せされた税率が維持されています。

政府は、原油価格の高騰や為替の影響によるガソリン代の急激な上昇に対しては、トリガー条項の発動ではなく、石油元売り企業などに対する価格抑制のための補助金制度を導入しています。

したがって、別の補助策によって価格がコントロールされている状態で、消費者が給油時に支払っているガソリン代には、確実に暫定税率が含まれているということになります。

暫定税率が「廃止」されたらどうなる?私たちの生活への具体的な影響

もしガソリン暫定税率が完全に廃止された場合、私たち消費者にとって最も大きな影響は、やはりガソリン代が下がることです。現在課税されている暫定税率(揮発油税・地方揮発油税を合わせて25.1円/L)が廃止されると、その分だけ価格が安くなります。

ただし、暫定税率には消費税率もかかっているため、厳密には25.1円に消費税分を上乗せした金額が安くなる計算になります。これにより、日々の給油負担が軽減されるというメリットが生まれます。

一方で、暫定税率として徴収されてきた税収は、現在、国の一般財源として使われています。そのため、この税率を廃止することは、道路整備や地方財源など、さまざまな公共サービスを支える財源が大幅に減少する影響を及ぼします。

したがって、廃止は単にガソリンが安くなるというメリットだけでなく、行政サービスや国の財政にどのような影響が出るのかという内容も合わせて議論する必要があるのです。

ガソリン代が下がる

暫定税率が廃止された場合のガソリン価格への影響

現在、ガソリン税に上乗せされている暫定税率は、国税と地方税を合わせて1リットルあたり約25.1円です。

この暫定税率の課税が完全に廃止されると、単純計算でこの25.1円分がガソリンの末端価格から差し引かれます。さらに、この税率自体に消費税が上乗せされている現状があるため、消費税分も含めると、およそ28円前後廃止の影響で安くなる計算になります。

例えば、現在のガソリン価格が1リットル170円だとすると、暫定税率が廃止されれば、理論上は142円前後にまで価格が下がることが予想されます

廃止の議論が進む中で、この価格への影響の内容が、消費者や企業の関心を最も集めるポイントとなっています。

暫定税率廃止のメリット・デメリット

ガソリン暫定税率が廃止された場合、消費者や企業にとっては大きなメリットがありますが、一方で国全体の財政にとっては看過できないデメリットも発生します。

まず、主なメリットは、前述のとおりガソリンの価格が大幅に下がり、家計や事業のコストが軽減されることです。運送企業などの物流コストが下がれば、その影響が最終的に物価の安定(デフレ影響の緩和)につながる可能性も期待できます。

しかし、最大のデメリットは、日本の財源に与える影響です。現在、暫定税率として徴収されている税率は、年間数兆円規模の大きな税収となっています。この税率が廃止されると、道路整備や地方交付税など、税金を充てるべき公共事業の補助財源が大幅に減少します

国や地方自治体は、この減収した財源を補填するために、新たな税率の導入や、他の公共サービスの予算削減といった方法を検討せざるを得なくなります。したがって、ガソリン暫定税率の廃止は、単なるガソリン代の問題ではなく、国の財政制度全体に影響を与える複雑な内容として捉える必要があります。

暫定税率の今後の見通しと議論の行方

ガソリン暫定税率は、廃止によるメリットと財源確保のデメリットという二律背反の影響を持つため、今後の見通しについては政治的な議論が続いています。

まず、トリガー条項の凍結解除(暫定税率の一時廃止)については、ガソリンの価格が高騰するたびに大きな焦点となります。野党側は生活影響の緩和のために廃止を求めますが、与党側は税収の安定や、トリガー条項発動後の税収回復方法の難しさから、慎重な現状を崩していません。

現在、暫定税率分を維持しながら、価格高騰対策として石油元売り企業への補助金を出す制度が導入されているのは、急激な財源喪失を避けるための折衷案とも言えます。

しかし、長期的には、ガソリン税の税率全体を見直す改正議論が避けられません。ガソリン暫定税率の廃止は、消費者にはメリットですが、財源をどうするのか、または「走行距離課税」といった新しい方法を導入するのかなど、複雑な内容を含むため、結論が出るまでには時間を要すると考えられます。

いずれにせよ、私たち消費者としては、今後の議論の行方と、それがガソリン価格に与える影響を注視していく必要があります。

ガソリン暫定税率のよくある疑問

暫定税率が「廃止」された場合、ガソリン代はいつから、いくら安くなりますか?

暫定税率が完全に廃止された場合、理論上は即座にガソリンの価格に影響が出ると予想されます。具体的には、1リットルあたり約28円前後(暫定税率25.1円とその消費税分)安くなる計算です。しかし、現在、廃止の具体的なスケジュールや法律上の改正は決まっていません。廃止には法律の改正が必要なため、実際に安くなる時期は、政府の決定と国会での審議の進み具合によって決まります。

暫定税率を廃止すると、私たちにとってのデメリットは何ですか?

消費者にとってガソリン代が安くなるというメリットはありますが、暫定税率廃止による最大のデメリットは、国の財源が大幅に減ることです。この税率が年間数兆円規模の税収を生み出しており、主に道路整備や地方のインフラ整備などの補助財源として活用されてきました。廃止された場合、その財源を補うために、別の税率の導入や公共サービスの予算削減といった形で、間接的に国民生活に影響が出る可能性があります。

「トリガー条項」が適用された場合と、「暫定税率廃止」は同じ意味ですか?

いいえ、異なります。「トリガー条項」は、ガソリンの価格が特定の基準を超えた場合に、暫定税率の課税を一時的に停止する仕組みです(現在凍結中)。これに対し、「暫定税率廃止」は、法律の改正によって、この税率を永久になくしてしまうことです。トリガー条項は一時的な措置ですが、暫定税率廃止は恒久的な制度の改正を意味します。

まとめ

この記事では、日々のガソリン代に直結している暫定税率の複雑な仕組みと、それを取り巻く現状について、わかりやすく解説することを目的としました。

改めて、今回の記事で理解すべき重要なポイントを整理しておきましょう。

  • 暫定税率とは:本来のガソリン税(本則税率)に上乗せされている特例的な税率で、現在のガソリン価格を押し上げている大きな要因です。
  • トリガー条項の現状:ガソリン価格高騰時に暫定税率の課税を一時停止する制度ですが、現在は東日本大震災の復興財源確保のため凍結されており、機能していません。
  • 廃止の影響(メリット):暫定税率が完全に廃止されれば、1リットルあたり約28円前後、ガソリン代が安くなるという明確なメリットがあります。
  • 廃止の影響(デメリット):廃止によって国の大きな財源が失われ、道路整備や地方財源など、公共サービスを支える予算に影響が出ることが懸念されています。

ガソリン暫定税率の議論は、あなたの財布だけでなく、国の財政やインフラ整備といった広範囲な影響を持つことがお分かりいただけたかと思います。今後、暫定税率に関するニュースや政治の議論を見る際に、この記事の内容をぜひ参考にしてください。

2025/11/28 10:25
読売新聞オンライン

ガソリン税と軽油引取税の暫定税率廃止法が28日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。1リットルあたり25・1円かかっていたガソリン税の暫定税率は12月31日で廃止され、軽油引取税の暫定税率(1リットルあたり17・1円)も来年4月1日に廃止される。

 政府は買い控えや販売現場の混乱を防ぐため、ガソリンや軽油の補助金を段階的に引き上げている。ガソリンの補助金は27日から1リットルあたり20円となっており、12月11日に暫定税率と同額の25・1円に増やし、廃止にあわせて終了する。

ガソリンスタンド
国会議事堂
 ガソリン税の暫定税率を巡っては、8月に当時の野党7党が「11月1日」に廃止する法案を国会に提出。自民、立憲民主、日本維新の会、国民民主、公明、共産の6党が今月5日、「12月31日」の廃止で正式合意し、軽油引取税も加える形で法案を修正した。

 暫定税率の廃止に伴い、国と地方の税収は年1・5兆円規模減ると見込まれるが、代替財源の確保策は決まっていない。同法の付則には、安定財源の確保について「法律の公布後、おおむね1年をめどに結論を得る」と明記した。

 ガソリン税の暫定税率は道路財源を充実させる目的で、1974年に「2年限り」として導入された。延長と税率引き上げを繰り返し、2009年度から用途を限定しない一般財源となっていた。

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