預金と貯金の違い

未分類

預金と貯金の決定的な違いは3つのポイント!意味・根拠法から通帳の正しい使い分けまで解説

「預金」と「貯金」。どちらもお金を貯蓄する意味で使われますが、この二つの違いを明確に理解しているでしょうか?銀行では「預金」、ゆうちょ銀行では「貯金」と使い分けられているのには、日本の金融制度と歴史的な背景が深く関わっています。

この記事では、預金と貯金のそれぞれの意味や起源を丁寧に解説し、適用される法律や保険制度に基づく決定的な違いを明確にします。さらに、日常会話や通帳の名称における正しい使い分けについても、具体的に解説します。

預金と貯金それぞれの定義(意味)と起源

「預金」と「貯金」は、どちらもお金を金融機関に預け入れる「貯蓄」行為を指しますが、厳密にはその意味と背景が異なります。この違いを理解するために、まずはそれぞれの定義から見ていきましょう。

一般的に「預金」は、銀行や信用金庫、信用組合など、主に銀行法に基づいて設立された機関が取り扱うものを指します。私たちが銀行の窓口で行うお金の出し入れは、この預金に該当します。

一方、「貯金」は、ゆうちょ銀行(旧郵便局)や農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)といった特殊な機関が取り扱うものを指します。特にゆうちょ銀行の「貯金」は、郵便貯金として長い歴史を持ち、その起源から銀行の預金とは異なる法令で運用されてきました。

つまり、どちらもお金を貯蓄する意味合いは同じですが、預金か貯金かは機関の違いによって生まれているのです。まずはこの根本的な意味の違いを覚えておきましょう。

銀行に預けたお金「預金」の意味と法的な定義

私たちが銀行や信用金庫、信用組合といった金融機関にお金を貯蓄する行為、それが「預金」です。この預金という行為は、ただお金を預けているだけでなく、法的に見ると「消費寄託契約(しょうひきたくけいやく)」という形で銀行とお客様の間で契約が結ばれています。

この契約の意味するところは、銀行がお客様から預金という形でお金を受け取り、それを銀行の資産として自由に運用できるということです。その代わり、お客様がいつでも資金の払い戻しを要求した場合、銀行はこれに応じる義務を負います。預金には利息がつくのも、銀行がそのお金を運用していることへの対価だと考えれば理解しやすいでしょう。

預金を扱う機関は主に銀行法に基づいて設立されており、この点が貯金を扱う機関との違いの根本にあります。私たちが生活資金を貯蓄するために使っている「普通預金」や「定期預金」などは、すべてこの預金に該当します。

また、預金者の資産を守る制度として、銀行は「預金保険制度」に加入しています。これにより、万が一銀行が破綻した場合でも、一定額まで預金が保護されるため、私たちは安心してお金を預けることができるのです。預金とは、法律に裏打ちされた、安全な貯蓄手段の一つなのです。

郵便局やJAが扱う「貯金」の意味と成り立ち

「貯金」という言葉は、主にゆうちょ銀行や農業協同組合(JAバンク)などが、お客様のお金を預かる際に使用します。この「貯金」が「預金」と違い、特別な用語として使われてきたのには、その独特な成り立ちが関係しています。

特にゆうちょ銀行の貯金は、かつて郵便局の「郵便貯金」として、戦前から国営で運営されてきた長い歴史があります。これは国民の貯蓄を奨励し、集まった資金を国の資産として運用するという、公共性の高い制度でした。そのため、一般の銀行が準拠する銀行法ではなく、専用の法律に基づいて運用されてきたのです。

法的な意味合いとしては、預金と同様に、お金を機関に預けて払い戻しを請求できる権利を持つことは共通しています。しかし、この歴史的な経緯により、ゆうちょ銀行などの機関が取り扱う貯蓄を「貯金」として区別する使い分けが定着しました。

JA(農協)やJF(漁協)も、組合員の生活を支援するという目的から、銀行とは異なる法的制度の下で貯金を取り扱っています。このように、「貯金」という言葉の裏には、銀行とは別の機関が、国の政策や地域組合の資金としてお金を預かってきたという歴史的な意味が込められています。

預金と貯金の決定的な違いはどこにある?

預金と貯金の違いの核心は、それぞれを扱う金融機関が準拠している「根拠法」と、万が一の際にお金が保護される「制度」にあります。

まず、最も重要な違いは、受け入れ側の機関です。銀行(メガ銀行、地方銀行、ネット銀行など)が預金を取り扱うのに対し、ゆうちょ銀行やJAなどは貯金を取り扱います。

この違いの背景には、適用される法律があります。預金は主に銀行法や金融商品取引法などの制度に基づきますが、ゆうちょ貯金は郵政民営化法に基づき運営されてきました。

さらに、私たちが預けたお金を守る保険制度にも違いがあります。銀行の預金は「預金保険制度」によって保護されます。一方で、ゆうちょ銀行の貯金は「貯金保険制度」という別の制度で保護されています。(ただし、保護される範囲や金額に大きな違いはありません。)

このように、預金と貯金は意味合いこそ似ていますが、法律や制度という点で見ると、明確な違いを持った別々の資産だと言えます。

【預金 貯金 違い】 最も重要な「根拠法」と主体機関の違い

預金と貯金の違いを理解するうえで、最も本質的かつ重要なポイントは、「誰が(主体機関)」そのお金を受け入れているのか、そして「何の法律(根拠法)」に基づいて運用されているのか、という点にあります。

まず、主体機関の違いです。預金を取り扱うのは、銀行法や信用金庫法などに基づいて設立された銀行や信用金庫です。これに対し、貯金を取り扱うのは、主にゆうちょ銀行(郵政民営化法)やJAバンク(農業協同組合法)など、銀行とは異なる根拠法を持つ機関です。

 

項目 預金 貯金
主体機関 銀行、信用金庫、労働金庫 ゆうちょ銀行、JA(農協)、JF(漁協)
主な根拠法 銀行法、信用金庫法など 郵政民営化法、農業協同組合法など

 

このように、預金と貯金は金融の制度上、それぞれ別々の法律の枠組みで管理されています。例えば、かつてゆうちょ貯金には預入限度額の制度がありましたが、これは国営時代の公共的な意味合いに基づいていたためです。この根拠法の違いこそが、両者を厳密に区別する最大の違いであり、預金と貯金の意味の核となっているのです。

制度面から見る「預金」と「貯金」の違い

預金と貯金は、万が一、取り扱い機関が破綻してしまった場合に、私たちの大切な資産を守る「保険制度」の面でも違いがあります。

銀行が取り扱う預金は「預金保険制度」によって保護されています。これは、銀行が加盟する制度で、普通預金や定期預金などの資金は、合算して元本1,000万円とその利息までが保護されるというものです。

一方、ゆうちょ銀行の貯金は、「貯金保険制度」という別の制度で保護されています。これは、郵政民営化に伴い導入された制度で、名称は違いますが、保護の範囲は預金保険制度と基本的に同じです。金融の知識として、どちらも似た機能を持った制度だと理解しておきましょう。

ただし、歴史的にはこの保険制度にも違いがありました。特に過去の郵便貯金は全額保護の制度があり、この手厚い制度も「貯金」という言葉が安全な貯蓄の意味として広く使われてきた背景にあります。

預金と貯金の正しい「使い分け」を具体例で解説

預金と貯金の違いを理解した上で、私たちが日常の生活でこれらの言葉をどのように使い分けるのが正しいかを見ていきましょう。

最も明確な使い分けは、金融機関によるものです。前述の通り、メガ銀行や地方銀行、ネット銀行(例:楽天銀行など)では、お金の貯蓄をすべて「預金」と呼びます。例えば、「定期預金」や「外貨預金」といった名称が使われます。

一方、ゆうちょ銀行(郵便局)では「貯金」が正式名称であり、「通常貯金」や「定期貯金」として区別されます。また、JA(農業協同組合)やJF(漁業協同組合)なども「貯金」の用語を使用します。

しかし、日常会話においては、そこまで厳密に使い分ける必要はありません。例えば、「毎月貯金をしている」と言う場合、それは銀行の預金口座にお金を入れている意味でも間違いではありません。貯蓄という広い意味では「貯金」が広く使われており、会話ではどちらを使っても通じますが、銀行の書類や公式な場では、機関に合わせた正確な使い分けが必要です。

金融機関で「預金」と「貯金」を使い分ける方法

預金と貯金の違いを実生活で意識する場面として、まず挙げられるのが、利用する金融機関によって用語が厳密に使い分けられている点です。

この使い分けの基準は、その機関がどのような法律に基づいて設立・運用されているかにあります。例えば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といった都市銀行、地方銀行、そしてネット銀行(例:楽天銀行など)のほぼすべては、「預金」という言葉を使用します。これらは銀行法を根拠としており、「定期預金」や「外貨預金」といった名称でサービスを提供しています。

一方、ゆうちょ銀行は「貯金」を使用します。これは前述の通り、郵政民営化という特殊な経緯から来ています。また、生活に密着した機関である農業協同組合(JAバンク)や漁業協同組合(JF)も、法律上の違いから「貯金」の用語を使用します。

この使い分けを知っていれば、金融機関から届く書類や通帳を見たときに、その機関がどのような制度の下で資産を預かっているのかがすぐに分かります。私たちは、預金と貯金のどちらを扱っているのかに応じて、正式な場では用語を使い分ける必要があります。

用語 主な使用機関
預金 都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、労働金庫
貯金 ゆうちょ銀行、JAバンク(農協)、JF(漁協)

日常会話で「預金」「貯金」をどう使い分けるのが自然か

預金と貯金の法的な違いや、金融機関による厳密な使い分けがあることは解説しましたが、日常会話や生活の中で一般的にお金を貯蓄する意味で使う場合、私たちはどのように使い分ければ自然なのでしょうか。

結論から言うと、日常会話においては「貯金」という言葉を使う方が、意味が広く、より自然に伝わるケースが多いです。例えば、「来年の旅行資金のために貯金をしている」とか、「毎月の生活費の余剰分を貯金に回す」といった表現が一般的です。

この背景には、「貯金」が、銀行やゆうちょ銀行といった金融機関への預け入れだけでなく、タンス貯金や投資による資産運用も含めた、お金を将来のために蓄えるという広い意味合いを持っているためです。預金はあくまで銀行との契約に基づいた貯蓄ですが、貯金は貯蓄という行為全般を指すのです。

もちろん、「〇〇銀行に預金している」という表現も間違いではありませんが、お金を貯めるという行為全体を指す際には、貯金の方が口語として定着しています。金融の専門的な話をする時以外は、貯金を使って問題ありませんが、書類や通帳を見る際は、その機関のルールに従って預金か貯金かを意識して使い分けるとよいでしょう。

「預金通帳」「貯金通帳」はどっちが正しい?金融機関ごとの用語の違い

預金通帳 貯金通帳 どっちが正しいのか、実物を前にして疑問に思う方も多いでしょう。結論から言えば、どちらも正しく、その違いは金融機関によって生じています。

一般的な銀行(都市銀行、地方銀行など)が発行するものは「預金通帳」です。これは、銀行が取り扱うお金が法的に「預金」であるという意味に基づいています。

一方、ゆうちょ銀行が発行するものは正式には「貯金通帳」です。ゆうちょ銀行が「貯金」という用語を使用しているため、これに対応して「貯金通帳」となります。JAバンクなども同様に「貯金通帳」という名称を使います。

したがって、預金通帳 貯金通帳 どっちが正しいかではなく、「どの機関の通帳か」によって名称が異なると理解すれば間違いありません。

銀行では「預金通帳」ゆうちょ銀行では「貯金通帳」

私たちが金融機関で口座を開設した際にもらう通帳。表紙には「預金通帳」と書かれているものと、「貯金通帳」と書かれているものがあります。「預金通帳 貯金通帳 どっちが正しいの?」と疑問に思うかもしれませんが、どちらも正解です。


私たちが生活でよく利用する都市銀行(例:楽天銀行、メガ銀行など)、地方銀行、信用金庫などが発行しているのは、正式には「預金通帳」です。これは、これらの機関が法的にお金を「預金」として受け入れている意味を証明するためです。

一方、ゆうちょ銀行が発行する通帳は、名称が「貯金通帳」です。また、JAバンクなども「貯金通帳」を使用します。これは、これらの機関が「貯金」という用語を正式に使用しているからです。

したがって、「預金通帳か貯金通帳。 どっちが正解?」という疑問への答えは、「利用している金融機関による」となります。

「積立」や「定期」はすべて預金?貯金?

預金か貯金かという違いは、通帳の名称だけでなく、「積立」や「定期」といった付加語がつく金融商品の名称にも適用されます。

この場合の使い分けも、基本的には主体機関によります。

例えば、都市銀行で提供されているお金を毎月自動で積み立てていく制度は、「積立預金」や「定期積立預金」といった名称になります。また、一定期間資金を運用する商品は「定期預金」と呼ばれます。

一方、ゆうちょ銀行では、これらに対応する商品として、「積立貯金」や「定期貯金」という名称が使われます。JAバンクなどでも同様です。

つまり、「積立」や「定期」は、貯蓄の「方法」や「期間」を意味する言葉であり、その前に付く「預金」または「貯金」は、その貯蓄を取り扱う機関が法的にどちらの用語を使っているかを示す意味合いになります。

貯蓄の種類 銀行などの場合 ゆうちょ銀行などの場合
期間を決めて預ける 定期預金 定期貯金
毎月積み立てる 積立預金 積立貯金

この違いを理解しておけば、資産運用に関する生活上の手続きで迷うことも少なくなるでしょう。

預金と貯金についてよくある疑問

預金と貯金、さらに「貯蓄」も含めた3つの言葉の違いは?

預金と貯金は、主に金融機関がお金を預かる際の用語の違い(銀行法か郵政民営化法か)を指しますが、「貯蓄」はこれらすべてを包含する広い意味の言葉です。貯蓄とは、将来に備えてお金を蓄える行為そのものを指し、預金や貯金のほか、タンス預金、投資、保険なども広義の貯蓄に含まれます。日常会話で「貯蓄」を使う際は、「資産運用を含めてお金を増やしていく」という意味合いで使われることが多いです。

簿記や会計処理において、「預金」と「貯金」は区別して書くべきですか?

簿記や会計の観点からは、「預金」と「貯金」の厳密な違いを意識する必要はありません。どちらも企業や個人の資産(資金)として扱われるため、貸借対照表(B/S)上では一般的に「現金預金」や「当座預金」「普通預金」といった勘定科目で処理されます。ゆうちょ銀行の貯金であっても、「普通預金」として計上することが一般的です。重要なのは、機関の違いではなく、そのお金がすぐに使える流動性のある資産であるという意味です。

預金通帳と貯金通帳は、金利やサービスに違いがありますか?

かつて、郵便貯金(貯金通帳)は全額保護される制度があったり、金利が銀行(預金通帳)と異なるなど、違いが明確にありました。しかし、現在では、預金も貯金も保険制度の保護範囲は基本的に同等です(元本1,000万円とその利息まで)。金利についても、ゆうちょ銀行の「貯金」と一般銀行の「預金」の間に、大きな違いは見られません。サービスの違いは、預金か貯金かではなく、金融機関の運用方針や投資サービス提供の有無など、機関ごとの戦略に依存します。

まとめ

本記事では、日常でよく耳にする「預金」と「貯金」という二つの言葉について、その意味から法的な違い、そして実際の使い分けまでを詳しく解説しました。

最終的な結論として、この二つの言葉の違いは、私たちがお金を預ける行為そのものの違いではなく、「誰が」そのお金を受け入れているのかという主体機関と、その機関が準拠する「法律」に起因すると理解していただけたかと思います。

【記事で解説した重要なポイント】

  • 定義の違い
    銀行などが銀行法に基づいて取り扱うものが「預金」、ゆうちょ銀行やJAなどが別の根拠法に基づいて取り扱うものが「貯金」です。

  • 決定的な違い
    最も本質的な違いは、適用される法律と、それに伴う預金保険制度と貯金保険制度という制度的な側面にあります。

  • 通帳の名称
    通帳や書類の名称は、金融機関によって異なり、銀行では「預金通帳」、ゆうちょ銀行では「貯金通帳」を使用するのが正しい名称です。

  • 日常の使い分け
    日常会話では「貯金」の方が貯蓄行為全体を指す広い意味で使われるため、より一般的で自然な表現です。

このように、預金と貯金の違いを知ることは、私たちが利用する金融機関の背景にある制度を理解し、自身の資産をより明確に管理することにつながります。

-未分類