街で買取専門店を見かける機会が増え、「なぜこんなに増えたのか」「質屋と何が違うのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
買取専門店が増えた理由には、リユース市場の成長や物価・金相場の変化、生前整理の広がりがあります。小規模な店舗でも運営しやすく、フランチャイズによって出店を増やせることも背景の一つです。
この記事では、買取店が儲かる仕組みや買取後の品物の行方、業者間オークションや海外市場への流通、質屋との違いまで分かりやすく解説します。
買取専門店が増えた理由とは?

買取店が急増した背景には、リユース市場の成長と、家庭にある品物を売却する機会の増加があります。物価や貴金属価格の変化、高齢化に伴う家財整理も、買取サービスの利用を後押ししています。
リユース市場と中古品需要が拡大している
リユースとは、使わなくなった商品を捨てず、再び利用することです。現在はブランドバッグや腕時計、衣料品、家具、家電など、幅広い中古品が店舗やインターネットで取引されています。
環境省の令和6年度リユース市場規模調査報告書が引用する民間推計によると、国内のリユース市場は2009年の約1兆1,274億円から、2023年には約3兆1,227億円へ拡大しました。中古品の需要が拡大すると、販売する商品を確保するため、買取の必要性も高まります。
リユース市場の成長は、査定を専門とする店舗が増えた理由の一つです。ただし、この市場規模には店頭販売だけでなく、フリマアプリなどの個人間取引も含まれます。
物価高や金相場の上昇が売却を後押ししている
物価高は、生活費を補うために使っていない品物を現金化したり、新品より安い中古品を購入したりするきっかけになります。総務省統計局によると、2025年の消費者物価指数は総合で前年比3.2%上昇しました。
金相場の上昇も、貴金属の売却を検討するきっかけになります。田中貴金属の年次データによると、金の参考小売価格の年平均は、2024年の1グラム当たり11,718円から2025年には17,302円へ上昇しました。
こうした価格環境の変化により、使っていない指輪やネックレスを査定に出し、買取店を利用する機会が増えやすくなります。ただし、実際の買取価格は純度や重量、状態、査定時の相場によって異なります。
生前整理や遺品整理への関心が高まっている
生前整理とは、本人が元気なうちに持ち物や財産を整理することです。一方、遺品整理は、亡くなった人が残した品物を家族などが仕分ける作業を指します。どちらの過程でも、ブランド品や腕時計、貴金属、アクセサリーなど、再利用できる品物が見つかる場合があります。
令和7年版高齢社会白書によると、2024年10月時点の高齢化率は29.3%です。また、環境省は2026年に、生前整理や遺品整理をリユース品の回収につなげるモデル実証事業を公募しています。
高齢化や一人暮らし世帯の増加を背景に、まだ使える品物を処分せず、専門業者へ買取を依頼する選択肢が注目されています。こうした家財整理の需要も、買取専門店が増えた理由の一つです。
買取店が急増したのはなぜ?出店側の事情

買取店が増えている背景には、利用者側の需要だけでなく、出店側の事情もあります。フランチャイズによって開業手順を標準化しやすく、広い販売スペースや多くの従業員を必要としないことが、店舗の増加につながっています。
フランチャイズ方式で店舗を増やしやすい
フランチャイズとは、加盟店が本部のブランド名や運営ノウハウを利用し、その対価として加盟金やロイヤリティーなどを支払う仕組みです。本部から広告、研修、査定、買取後の販売先などの支援を受けられるため、加盟店は事業の仕組みを一から構築する負担を抑えられます。
例えば「おたからや」の運営会社は、2025年12月末時点で全国1,630店舗以上を展開し、そのうち1,243店舗がフランチャイズ加盟店であると公表しています。各地域の加盟店オーナーが出店費用を負担するため、運営会社が直営店だけを出す場合よりも店舗網を広げやすくなります。
ただし、加盟条件や支援内容、費用はブランドによって異なります。フランチャイズへの加盟が、利益を保証するわけではありません。
小規模な店舗でも開業・運営できる
一般的な中古品販売店には、商品を並べる売り場や在庫の保管場所が必要です。一方、買取専門店の主な役割は、利用者が持ち込んだブランド品や腕時計、貴金属などを査定して買い取ることです。中古商品を店内で販売しない形態であれば、広い売り場を設ける必要はありません。
「おたからや」の運営会社は、販売スペースが不要なため、約2坪から店舗業務を行えると説明しています。小さなテナントを利用して少人数で営業すれば、家賃や人件費などの固定費を抑えやすくなります。
ただし、中古品を事業として買い取るには、古物商の許可が必要です。営業所ごとに管理者を置く義務もあるため、場所を借りるだけでは開業できません。古物商許可の手続きも事前に確認が必要です。
店頭販売に頼らず利益を得られる
買取専門店は、買い取った商品を自店に並べて一般客へ販売するとは限りません。本部や提携業者、業者間オークションなどの販路を利用すれば、店舗は査定と買取に集中できます。商品を早く再販売できるため、保管場所や販売スタッフにかかる費用も抑えやすくなります。
「買取大吉」は、本部による査定支援と責任買取システムを案内しています。「おたからや」も、加盟店が買い取った品物を本部へ発送して現金化する仕組みを公表しています。こうした本部への販売経路は、加盟店の現金化を支える仕組みの一つです。
ただし、商品を長期間抱えにくい仕組みでも、経営上のリスクがなくなるわけではありません。査定額の誤り、偽物の買取、相場の変化、集客不足などによって損失が生じる可能性があります。
買取店が儲かる仕組みとは?

買取店は、利用者から買い取った商品を別の買い手へ再販売して収益を得ます。再販売価格を見込み、適切な買取価格と販売先を決めることが、利益を確保する基本です。
買取価格と再販売価格の差額が利益になる
買取店の収益は、商品の買取価格と再販売価格の差額から生まれます。例えば、腕時計を8万円で買い取り、業者や一般の購入者へ10万円で販売した場合、売買差額は2万円です。
ただし、この2万円がそのまま最終利益になるわけではありません。会計上、売値から商品の仕入れに当たる買取価格を差し引いた金額は、「売上総利益」または「粗利益」と呼ばれます。ここから家賃、人件費、広告費、送料、オークション手数料、フランチャイズのロイヤリティーなどが差し引かれます。
買取店は再販売価格を予測し、経費や価格下落のリスクを考慮して査定額を決めます。高く売れる商品でも、経費が大きければ十分な利益は残りません。
ブランド品や貴金属は価格を判断しやすい
ブランドバッグや腕時計には、商品を特定するブランド名や型番、製造年代などの情報があります。同じモデルの落札価格や販売実績を確認できるため、取引事例の少ない品物よりも再販売価格を予測しやすくなります。KOMEHYOオークションのような業者向け市場でも、時計、バッグ、宝石、衣料品などが継続的に取引されています。
金やプラチナなどの貴金属は、主に品位、重量、当日の相場を基準に査定額を計算できます。例えば、田中貴金属のリサイクル価格では、K24やK18などの品位別に、1グラム当たりの価格が公表されています。
ただし、ブランド品は状態や付属品、人気によって価値が変わるため、偽物を見分ける知識も必要です。宝石が付いた指輪などは、素材の価格だけで判断できない場合があります。
業者間取引によって在庫リスクを抑えられる
業者間取引とは、買取業者や中古品販売業者など、事業者同士で商品を売買することです。業者間オークションには国内外の買い手が参加するため、自店の一般客に限って販売するよりも、ブランド品や腕時計などの販売先を見つけやすくなります。
商品を早く売却できれば、相場の下落や流行の変化によって価値が下がる前に現金化できます。保管期間が短くなり、在庫に必要なスペースも抑えられます。BuySell Technologiesは、業者向け市場の価格データと複数の販売経路を活用し、買取商品の在庫リスクを抑える方針を中期経営計画で示しています。
ただし、業者間市場でも、必ず希望価格で売れるとは限りません。落札手数料や送料がかかるほか、買い手が付かない可能性もあるため、在庫リスクを完全にはなくせません。
買取店で買い取られた品物はどこへ行く?質屋との違いも解説

買い取られた品物が、すべて同じ店舗で販売されるわけではありません。状態や需要に応じて、業者間オークション、国内外の中古市場、素材のリサイクルなど、適切な流通先へ振り分けられます。
買取品は業者間オークションや中古市場で再販売される
店舗で買い取られたブランドバッグや腕時計、アクセサリーなどは、検品や真贋判定を受けます。その後、業者間オークション、系列の中古品販売店、自社ECサイトなどを通じて再販売されるのが一般的です。
業者間オークションは、古物商などの事業者が商品を売買する市場です。買取店は在庫を出品して現金化し、中古品販売店は落札した商品を自店で販売します。KOMEHYOオークションのように、ブランド品、時計、宝石、衣料品などを扱う市場もあります。
買取後の品物は、多くの場合、中古市場を通じて次の購入者へ渡ります。買取店は商品の種類や状態、相場を確認し、適切な販売先を選びます。
海外市場や部品・素材として利用されることもある
日本で買い取られた商品が、海外の販売業者や消費者へ渡ることもあります。国や地域によって人気のブランドや商品、価格帯が異なるため、国内では需要の少ない中古品でも海外で買い手が見つかる場合があります。BuySell Technologiesも、BtoBオークションやEC、店舗に加え、海外を販売先として活用していると説明しています。
そのまま再販売しにくい商品でも、部品や素材に価値が残っている場合があります。壊れた腕時計は修理用部品として利用され、金の指輪や切れたネックレスは溶解・精製して、新たな地金や製品の原料にできることがあります。田中貴金属も、買い取った地金を溶解・検査して製造し直す工程を案内しています。
なお、使用できない電気・電子機器を中古品と偽って輸出することは認められません。リユース目的で輸出する際は、正常に使用できるかなどを判断する基準があります。
買取専門店と質屋は取引の仕組みが異なる
買取専門店と質屋の違いは、品物と引き換えに受け取るお金の性質にあります。買取では、査定額に同意して品物を売ると、所有権が店舗へ移ります。原則として、取引成立後に代金を返しても、売った品物は取り戻せません。
一方、質屋の「質預かり」は、品物を担保として預け、その価値の範囲内でお金を借りる仕組みです。期限内に元金と質料を支払えば、預けた品物は手元に戻ります。期限までに返済しなければ「質流れ」となり、品物の所有権が質屋へ移りますが、原則として追加の返済義務は残りません。全国質屋組合連合会も、この仕組みを案内しています。
なお、質屋でも品物を買い取る場合があります。店舗の名称ではなく、品物を売る「買取」なのか、担保として預ける「質預かり」なのかで判断することが大切です。
よくある質問
買取店が増えすぎても、すべての店舗が儲かるのでしょうか?
店舗数が多くても、すべての店舗が安定して利益を得られるとは限りません。利益は立地や集客力、査定の正確さ、買取量、販売先などに左右されます。フランチャイズでも家賃や広告費、ロイヤリティーがかかるため、周辺店舗との競争が激しければ撤退する可能性があります。
「買取業界はやめとけ」といわれるのはなぜですか?
開業しやすい印象がある一方、偽物の買取や査定ミス、相場下落、資金繰りなどのリスクがあるためです。買取代金を先に支払い、商品を売却するまで資金を回収できない点にも注意が必要です。業界そのものに問題があるという意味ではなく、専門知識や十分な事業計画が求められます。
買取業界の勢力図は店舗数だけで判断できますか?
店舗数だけでは判断できません。直営店とフランチャイズ店の割合、買取金額、売上高、対応地域、出張買取や宅配買取の規模なども確認する必要があります。店舗数が少なくても、インターネット販売や業者間取引に強い企業があるため、比較する指標によって業界内の位置づけは変わります。