為替介入の仕組み

大人の基礎知識

為替介入の仕組みをわかりやすく解説|政府は実際に何をしているのか?

ニュースで「政府が為替介入を実施しました」という言葉を耳にすることがあります。

ただ、「為替介入って結局何をしているの?」「誰が決めて、どうやって相場を動かしているの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、円安を抑えて円高方向へ動かしたい場合、日本政府は市場で大量のドルを売り、その代わりに大量の円を買います。

シンプルにいえば、「ドルを手放して円を集める」ことで、円の価値を押し上げようとしているのです。

ニュースでは一言で「為替介入」と報じられますが、その裏では財務省と日本銀行が連携し、ときには数兆円規模のお金を動かしています。

この記事では、為替介入の仕組みから実際の流れ、さらに「介入しても元に戻るのになぜ行うのか?」という疑問まで、わかりやすく解説します。

為替介入は誰が決めて、誰が実行しているのか?

為替介入のイメージ

ニュースでは「政府の為替介入」と呼ばれていますが、実際に介入するかどうかを決めているのは財務省(財務大臣)です。
ただし、財務省が直接市場で売買しているわけではありません。
実際に注文を出しているのは、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)です。

流れを簡単にまとめると、次のようになります。

1. 財務省が介入を決定する
2. 財務省が日銀に指示を出す
3. 日銀が市場で実際に売買を行う

つまり、 財務省が作戦を決め、日銀が現場で実行する

というイメージです。

円高にしたいときの為替介入の仕組み

為替介入の仕組み

介入に使うドルはどこから来るのか?

「ドルを大量に売る」といっても、そもそもそのドルはどこにあるのでしょうか。
その原資になっているのが、日本政府が保有している外貨準備。つまり、政府が持っている外国のお金や資産のことです。

主な中身は次のようなものです。

  •  米国債
  •  外貨建て預金
  •  その他の外国資産

政府はこれらを活用しながら、介入に必要なドルを準備しています。

実際の取引の流れ

介入が決まると、日銀は大手銀行などを通じて市場へ大量の注文を出します。

流れをシンプルにすると次のようになります。


外貨準備のドル

売却→市場のドルが増える→ドルの価値が下がる

市場の円
買い集める→市場の円が減る→円の価値が上がる


市場では、モノと同じように需要と供給で価格が決まります。

そのため、

  •  ドルが大量に売られる
  •  円が大量に買われる

という状況になると、

  •  ドルの価値は下がる
  •  円の価値は上がる

という動きが起こります。

結果としてドル円相場は下落し、円高方向へ動くのです。

スーパーで人気商品が買い占められると値段が上がるのと同じように、通貨も需要と供給の影響を受けています。

逆に円安へ動かしたい場合はどうする?

反対に、急激な円高を抑えて円安方向へ動かしたい場合はどうなるのでしょうか。
このとき行われるのが「円売り・ドル買い介入」です。

まず政府は「政府短期証券(FB)」という短期国債を発行し、市場から円資金を調達します。
そして、その円を使って市場でドルを大量に購入します。

すると、

  •  円が市場に増える
  •  ドルが市場から減る

ため、

  •  円安
  •  ドル高

が進みやすくなります。

円高にしたい時と円安にしたい時の違い

目的 実際に行うこと 資金の出どころ 特徴
円高にしたい ドル売り・円買い 外貨準備 使えるドルに限りがある
円安にしたい 円売り・ドル買い 政府短期証券(FB) 大規模な介入が可能

このため、円高方向へ動かすための「ドル売り・円買い介入」は使える資金に限界があります。

その分、政府もタイミングを慎重に見極めながら実施しているのです。

介入しても元に戻るのに意味はあるのか?

為替介入の意味

為替介入が行われても、数日後には元の円安水準に戻ってしまうことがあります。

市場関係者の間では、「介入が溶けた」と表現されることもあります。

そう聞くと、「結局元に戻るなら意味がないのでは?」と思うかもしれません。実際、ネット上でも「税金の無駄遣いでは?」という意見を見かけます。

しかし、ここには少し誤解があります。

なぜ国は損をしていないと言われるのか?

まず大きな理由は、政府が保有しているドルの多くが昔の円高時代に購入されたものだからです。

例えば、

  •  購入時:1ドル=100円
  •  売却時:1ドル=150円

であれば、差額分の利益が発生します。つまり政府は、安く仕入れたドルを高く売っている状態なのです。

「損した」と言われるのは政策効果の話

では、なぜ「大損した」と言われることがあるのでしょうかそれは、お金の損得ではなく政策の成果が問題にされているからです。

為替介入の本来の目的は、急激な円安を抑えることです。

そのため、介入後に相場がすぐ元に戻ってしまうと、「十分な効果がなかった」と評価されることがあります。

これが「介入は失敗だった」「損をした」というイメージにつながっているのです。

まとめ|為替介入のニュースがわかるようになる

為替介入とは、財務省の判断のもとで日銀が市場に介入し、円やドルを大量に売買する仕組みです。

円高にしたい場合はドルを売って円を買い、円安にしたい場合は円を売ってドルを買います。

また、介入後に相場が元に戻ったとしても、

  •  昔安く買ったドルを売っている
  •  まだ多くのドル資産を保有している

といった理由から、必ずしも国が大損しているわけではありません。

ニュースでは結果だけが報じられがちですが、その裏では数兆円規模の資金が動いています。

為替介入の仕組みを知っておくと、今後の円高・円安のニュースもぐっと理解しやすくなるはずです。

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